2026 — 「GOLD RUSH」
2026 — 「GOLD RUSH」
図書館でたまたまゴールドラッシュについて書かれている本に出会った。今じゃ考えられないおもしろい社会現象ですごく気になり、リサーチを進めていたら、そのまま今回のコレクションのテーマになっていった。
19世紀半ば、アメリカ・カルフォルニアでゴールドラッシュというムーヴメントがあった。ある一帯で金塊が掘れるという話を聞いた世界中の人々がこぞって殺到。リーバイスは生まれ、カリフォルニアは大都市に発展した。
言うなれば、「一攫千金」という不確かなアメリカンドリームが、とんでもない規模で社会現象になったのだ。
もちろんGoogle Mapどころか携帯電話すらない当時、リアルタイムな情報を得るには新聞や本しかなかった。実態の分からない中、大陸を越え、現地に向かう人たちはいい意味でクレイジーだと思ったし、人間が持つ「夢」、そして「衝動」のパワーに笑ってしまった。
先日、母校で講演する機会があった。Q&Aの時間に、生徒からこんな質問があった。「どうやって海外に行ったんですか?」「英語喋れないのに不安じゃなかったですか?」似たような質問が続いて、正直驚いた。。と同時に、ハッとした。今の学生たちは、自分の時よりも圧倒的に情報を得やすい環境にいるけれど、あまりに膨大な情報に囲まれていると、漠然とした不安が幾度となく溢れ出てきてしまうのかもしれない、と。
便利になり豊かに向かっているはずの世の中だけれど、便利=豊かは、果たしてイコールなのだろうか。今は写真だけでなく、動画で色んな国の人の私生活を見れる時代になり、行ったことがなくても、なんとなく想像したり感じたりできる世の中になったのは確かだ。ただ、衝動から生まれた、「そんなことある!?」と笑ってしまうような体験こそが、ますます貴重になっている気がする。
根拠もなく、その先のことは何もわからないけれど、何かが動き出す予感。ゴールドラッシュという衝動に突き動かされた人々は、たくさんの出会いやドラマを生んだに違いない。
恐れを知らない採掘者たちの姿と、その素晴らしい衝動に敬意を込めて、今回のコレクションを作りました。

